10種類のメニューで どっぷりとオーガニックにはまる2日間  (Ⅰ~Ⅹのプログラム)

1日目 4/24@渋谷さくらホール(開場9:30 開会10:00~終了17:45)

【午前の部 10:00-12:30】

プログラムⅠ 基調報告「開催経緯と目的 持続可能性と生物多様性を実現する-
        ……一社フードトラストプロジェクト代表理事 徳江倫明
  報告テーマ
   1. 開催の経緯-福島原発事故から4年、-オーガニックが本気の時代になる-
   2. 有機農業の原点-真の環境保全型農業を目指す-
   3. オーガニックマーケットの可能性-売り場をつくる-
   4. 次世代へ繋ぐ-売り場作りから社会づくりへ-


プログラムⅡ 記念講演「環境を守る農業-自然栽培と有機農業の目指すもの」      
        ……自然栽培農家 木村秋則
 そもそも有機農業は自然の摂理に沿い、低投入(ローインパクト)という視点から環境への負荷を低減させ、地域の自然循環機能を活用し、豊かな生物多様性を育むそんな農業だ。目指すところは自然農業も有機農業も同じところにある。


プログラムⅢ 基調講演「マクドナルドの時代は終わったのか
-アメリカ的マスマーケティングの終焉-」
        ……法政大学経営大学院教授 小川孔輔

 小川孔輔氏は本年1月に、『マクドナルド 失敗の本質』という本を出版した。マクドナルドのビジネス的な失敗は、米国流のフードシステムが時代的な役割を終えていることのひとつの事例にすぎない。いまや標準的なチェーンストアオペレーションにより、均質な食べ物を安価に提供する枠組みは、わたしたち生活者のニーズに合わなくなってきているということだ。
基調講演の中では、旧来型のモデルが役割を終えた後、代替的なモデルとして登場するだろう「分散型生産販売システム(域内SPA)」の未来予想図の基本要件を示しながら、戦後日本の食文化の変遷を、「米国モデル」への挑戦という視点で展開する。


【午後の部 13:30-17:45】

プログラムⅣ パネルディスカッション1売り場を作る-生・販・消一体の取り組み-」

マクドナルドと同様に、「どこでも、同じものを、同じ価格で・・・」ということをモットーにチェーン展開してきた大規模量販店も大きな転換を迫られています。そんな中、もう一つのフードビジネスのあり方に注目が集まっています。
今回登壇いただく東京羽村の地域スーパー「福島屋」の福島会長は、「生・販・消一体型MD」「“売る”ではなく“伝える”」ということを、売り場づくりのノウハウとして確立しています。コミュニケーションを重視した顧客参加型の店舗づくりを具体化し、規模ではなく地域にこだわり、生産者と提携した有機野菜や自然栽培野菜、品質重視の加工品や店内加工の惣菜など積極的に展開し、安定した経営を確立しています。
アパレルメーカーのアバンティは福島の復興支援として販売者や消費者と一緒にオーガニックコットンの栽培と商品開発を行い、縫製や製作など地域の仕事をつくりだしています。カミツレ研究所では原料ハ―ブの有機栽培を行うなど、コスメ業界でもオーガニックへの取り組み、生・販・消一体型の取り組みが広がっています。
また自立した農業、経営力のある農業をつくりだすための6次化ファンド「株式会社農林漁業成長産業化支援機構」もこうした生産者・販売者・消費者が一体となる事業に対し、今後の成長分野として積極的な投融資対応を考えています。
オーガニックという視点から、生活のあらゆる分野で生・販・消の関係を重視し、仕組みとして売り場づくりにつなげる、新しいチャレンジが始まっています。

 司会:徳江倫明 (一般社団法人フードトラストプロジェクト代表理事)
 ファシリテーター:武田泰明(NPO法人アジアGAP総合研究所専務理事)

  パネリスト
   福島徹(福島屋会長)、
   福永 庸明(イオンアグリ創造株式会社代表取締役)
   山下一穂(NPO法人有機農業参入促進協議会理事長 土佐自然塾塾長)
   渡邊智恵子(アバンティ代表取締役)
   北條裕子(株式会社カミツレ研究所代表取締役)


プログラムⅤ パネルディスカッション2「次世代の取り組み-売場作りから社会づくりへ」

今、農業に関心を持ち、新規就農を目指す若者、あるいは生産者と消費者をつなぐ仕事、社会貢献型事業を目指す若者が増えています。日本に有機農業という言葉が生まれたのは1971年、その原点にある考え方やこれまでの取り組みを次の世代に伝え、“主義・主張によるオーガニックの時代”に区切りを付け、どのような社会を目指すのか、その目的や目標を共有することにチャレンジしてみたいと思います。
実際に各地で有機農業の普及を多様な切り口でビジネス展開している若手経営者、地域おこし隊に参加し、そのまま地域の中で取り組む若者、自ら自然農業や有機農業に新規就農した若者に主催してもらいます。彼らが目指している世界を彼らの言葉で語ってもらい、世代間のコミュニケーションとコラボレーションを図ります。

 司会:西辻一真(株式会社マイファーム代表取締役/アグリイノベーション大学校)
 ファシリテーター:久松達夫(久松農園 有機農業)

  パネリスト
   小野邦彦(株式会社坂の途中代表取締役)
   岡田利奈(株式会社エフティピーエス 生・販コーディネーター)
   大石リカ・デリシャス(SuperOrganicFoods/ビオ国際学会)
   皿井明日夏 (元地域おこし協力隊 奄美加計呂麻島で地域おこし)
   宮田雅和(なごみ農園 富士山麓有機農業推進協議会の代表)


プログラムⅥ とことんオーガニックシンポジウム以降の活動の提案
提案1 オーガニックマーケティング協議会
提案2 シェア・ロジプロジェクト
提案3 Organic Forum Japan「オーガニックライフスタイルフェア-開催」 
提案4 東京オリンピックにオーガニックを!
提案5 参加型保証システム(PGS)「生きもの認証システム」の提案



2日目 4/25@永田町星陵会館(開場9:30 開始9:40~閉会18:00)

【午前の部 9:40-13:10】

プログラムⅦ 有機農業の原点を考える「国民が納得する農業とは-リレートーク-」

  基調講演1:有機農業の本質-森・里・海の連環- 
        ……魚住道郎(有機農業生産者、日本有機農業研究会理事)

落葉や枯草、稲ワラやモミガラなどの作物残渣は、土壌微生物や土壌動物(ミミズ、ヤスデ、トビムシや甲虫類の幼虫など)の餌となり、やがて腐植という物質になり、土壌中に蓄積していきます。
この腐植が、次の世代の命の源、栄養となり、植物や家畜の成長、健康に帰与することは、A・ハワードらによって既に明らかにされていて、私たちも良質の堆肥を如何に生産し、農地に還元するかを課題にしてきたところです。
森や里山からかき集められた広葉樹の落葉は、家畜の敷料や野菜の育苗をする踏み込み温床に使われる(落葉堆肥として、その発酵熱が利用され、そして、その落葉堆肥は一年後、腐葉土となり、苗を健康に育てるだいじな床土となります)。山に棲み着いた有益な菌と山の土壌から吸い上げた微量要素が豊富に含まれた床土(腐葉土)が作り出され、その後の作物の健康に大きな影響を与えます。
一方、豊かな腐植土を持つ広葉樹の森や湿地から流れ出した腐植は河川を通じ下流まで運ばれ、汽水域に達したところで植物プランクトンに鉄分を供給する役割をし、汽水域の動物プランクトンを増殖させ、沿岸の魚介類や海藻の繁殖に貢献しているといわれている(「森が消えれば海も死ぬ」著者、北海道大学名誉教授松永勝彦)。
祖先から受け継いできた命の基盤である森・里・海を、とりわけ戦後の工業化、都市化の果てに荒廃させ、痛めつけてしまった。
3.11東日本大震災、福島第一原発事故から4年の今、「腐植がつなぐ森・里・海の流域自給」「自給農緑(園)」を有機農業運動の根幹に据えたいと考えている。

  [リレートーク]
    ・福島原発事故と有機農業 
      ……菅野正寿(福島県有機農業者ネットワーク理事長)

    ・世界のオーガニックとこれからの方向性 
      ……村山勝茂(IFOAMジャパン理事長)

    ・300町歩の挑戦-有機農業・自然農業・JGAPの垣根をとる- 
      ……井村辰二郎(金沢大地代表)

    ・農業と自然エネルギー-野菜と一緒に電力の産直-が実現する 
      ……大石英司(みんな電力㈱代表取締役)

  基調講演2:国民が納得する農業-レファランスレベル-
        ……荘林幹太郎(学習院女子大学教授、財団法人JGAP協会理事長)

農業は環境にプラスとマイナスの影響を与えている。このうち、プラスの影響については「農業の多面的機能」と呼ばれ、国内農業生産保護の重要な理由の一つとされている。我が国の農政にかかわる原則を定めている食料農業農村基本法においても、持続的な農業が食料の安定的供給と農業の多面的機能の発揮をもたらすとしている。
しかしながら、「持続的な農業」の内容についての国民的合意が確立されているとはいいがたい。どのような「農業」であればそれが長期にわたり多面的機能をもたらすのかということについての「基準線」がないのである。そのことは、営農方法にかかわる農家と社会の責任の境界線を示し、主要先進諸国の農政においてもっとも重要な「レファランスレベル」概念が我が国においてほとんど流通していないことに端的に表れている。その水準までは規制的な手法により農家の責任で環境改善を達成し、それ以上は社会の責任として環境支払いにより農家の負担が発生しないようにする、それがレファランスレベル概念の要諦である。規制と環境支払い政策の補完的な運用を可能とする政策実務上の利点をもたらすのみならず、レファランスレベルを設定するプロセス自体が農業のあり方についての国民的議論を成熟させるという点で、レファランスレベルは極めて重要な役割を担うこととなるのである。

国民が納得する農業 質疑応答30分


【午後の部 14:30-18:00】

プログラムⅧ パネルディスカッション3「『地産企消』の可能性」
       -企業が農家から農産物を直接買い取り、「提携」する仕組み-

    企画:一般社団法人グリーン経営者フォーラム

日本のTPP加入が確実な情勢の中、日本の農家は今後、厳しい国際競争にさらされる命運にあります。一方で農協・全中は大きな変化を迫られています。
 大規模化、輸出産業化に本当に活路はあるのでしょうか?
耕作放棄地の増大、後継者不足、米価安、これまでの農産物ルートすら危うい状況の中、このままでは、日本の農家や農村地帯が壊滅的な打撃を受ける可能性すらあります。
国際的には環境を保全し、安定生産のベースとして小規模農業・家族農業そして土壌の重要性が再認識されています。里山と田園風景など日本固有の景観を作り、生物多様性を守り、健全な土壌を作り、その結果として安全な食を提供する農業、それこそ国民が納得し、税金を使い、国民の意思で農業の維持発展のために環境直接支払い(助成金)を行う意味があるものです。
その中で、企業が直接、農家から農産物を買い取り、「提携」する仕組みが生まれています。来るべき時代に向けた企業と農業のコラボレーションによる地域づくり、農業が自立していく経営戦略など、その最前線を探るとともに、『地産企消』あるいは“コミュニティ・サポーティッド”ならぬ“カンパニー・サポーティッド・アグリカルチャー(CSAⅡ) ”の可能性を考えます。

 司会:森摂(一社グリーン経営者フォーラム代表理事、オルタナ編集長)

  パネリスト
   金子美登(NPO法人全国有機農業推進協議会 霜里農場)
   山本拓己(㈱オクタ代表取締役)
   藻谷浩介(㈱日本総合研究所調査部主席研究員)


プログラムⅨ リサーチ発表「有機もどき表示の氾濫とオーガニックに関する消費者意識」


プログラムⅩ パネルディスカッション4
「これからの地域スーパーの活性化-キーワードは“売る”ではなく“伝える”-」

    企画:福島塾、 協力:商業界、福島塾参加企業

 1970年代から30年ほどオーガニックマーケットを主導してきた共同購入、宅配団体、卸など有機専門流通団体と大資本との資本提携、売却などが進み、今後のマーケットにどのような影響を及ぼすのか興味が持たれます。そうした大きな変化の中で、次世代のオ-ガニックマーケットを先導する業態はどのようなものか、それを支える経営理念や仕組みはどのようなものか・・・・、「生・販・消一体型MD」「“売る”ではなく“伝える”」というキーワードをもとに、東京羽村、六本木一丁目などで展開する「福島屋」という食品スーパーの事例をもとに具体的に明らかにしていきます。元気な地域スーパーを広げるスタートです。

 司会:徳江倫明(一社フードトラストプロジェクト代表理事、福島塾)

  パネリスト
   福島徹(福島屋会長) 
   福士英雄(自然栽培農家 農事組合法人羽白開発代表) 
   石川靖(株式会社土佐山田ショッピングセンター代表取締役)
   笹井清則(商業界編集長)、
   小川孔輔(法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科教授)



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